「保育とわたし」 雨宮みなみさん<保育や子育てに役立つ“遊び”情報サイト【ほいくる】運営>(前編)

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前編
保育士は好きじゃないとできないけれど、好きだけではできない仕事

 

保育士になったきかっけは?

中学生のときの職業体験がきっかけです。子どもたちの着脱を手伝ったり、お昼寝のときにトントンしたりする程度でしたが、こんなにも自分が自然な笑顔でいられる仕事があるんだと思いました。こんなすてきな仕事があるなら、この道しかないと。それからは絶対に保育士になると決めて、保育園にボランティアに行ったり、短大も迷うことなく保育士の資格がとれる学校に進学。念願叶って、保育園に就職することができました。

実際に保育士になってみていかがでしたか?

最初に勤めた保育園は、正直とてもハードでした。とくに1年目は、他の先生たちについていくこと、合わせることに必死になってしまって、その日その日が精一杯。子どもたちの姿を見ているつもりでも、本質まではわかっていなかった気がします。あんなにもなりたかった保育士。でも「保育士は好きじゃないとできないけれど、好きだけではできない仕事だと痛感しました。

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そんな日々の中、印象に残っている出来事は?

あるとき、階段で抱えていたクレヨンを落としてばらまいてしまったんです。すると5歳の女の子が「そんなに1人で頑張らなくてもいいんだよ」って。
卒園間近だったこともあり、必至にまとめようと無理をしていたのですが、それは一人よがりだったことを感じた瞬間であり、自分のペースの保育になっていることに気付かせてもくれました。

信頼関係の築き方を教えてくれたのも、子どもたちです。よくふざけている男の子に、注意ばかりしていた私は、なかなか受け入れてもらうことができませんでした。でも、目の前子どもの姿を大人の(自分の)都合だけで注意するのではなく、彼の行動の背景にも、もっともっと近付いてみよう、と。――そんなふうに意識するようになったある日のお散歩途中のこと。彼が「これ、あげる!」と言って、私の名札バッチにタンポポをさしてくれたんです。働き始めて数ヶ月、精神的にだいぶ参っていた私にとっては、ものすごく嬉しい出来事でした。それまでは、私の姿を見るだけで目の色を変えるくらい、“天敵”と化してしまっていましたから(苦笑)。
こういった小さいけれども大きな出来事を通して、子どもたちの姿に近づいていく中で、少しずつ信頼関係ができていくのだということを、実体験を通して学びました。

余裕がなく疲弊した環境に、ときにやめたいと思うことがあっても、子どもたちとの関わりやエピソード一つ一つが、続ける原動力になりました。

民間の保育園に勤められた後、公立の保育園で非常勤保育士となった雨宮さん。何か違いはありましたか?

園にもよると思いますが、私が携わらせてもらった公立の保育園は、子どもたちとの関わり方から時間の過ごし方までゆったりした保育で、一園目の保育園とはいろんなことが真逆でした。最初はそのギャップに戸惑ったのですが、保育をしていくうちに、子どもとの関わり方が違うと、子どもの姿もこんなにも違うんだというのが見えてきたんです。どちらの保育が良い・悪いではなく、一園目を通して自然と、「保育とはこうだっていう固定概念ができていた私にとって「保育には答えがない」ことを知れたのは大きかったですね。

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再び民間の保育園へ?

大きく異なる2つの保育園を経験したことで、自分で自由に考えながら、子どもたちと一緒に成長していく――そんな保育がしたいと思うようになって、それが可能な(民間の)保育園で働き始めました。

3、4、5歳クラスの担任になり、一任される部分が増えた環境の中で、これまでの経験を通して「やりたい」と思った保育の中で子どもたちと関わることができる環境は、とてもやりがいがありました。

中でも思い出に残っているのは発表会。劇で与えられた役をやるよりも、子どもたちがそれぞれに好きなこと(その時に楽しんでいること)を発表できたほうが、楽しいだろうと考えました。子どもたちがより生き生きとした姿をみんなで共有することもできると思って。当時、子どもたちが好きだった「なわとび」「忍者ダンス」「音楽」が発表できるようなお話を作って、衣装も子どもたちと一緒に考えて作りました。ちょっと変わった内容ではありましたが(笑)、子どもの姿と保護者の表情を見て、こんな形もありなんだなぁ、やってみて良かったなぁと思いました。

自分がしたいと思う保育ができるようにはなったのですが、2年間勤めて、退職することを決めました。
その理由は……。

後編へ続く。

(撮影/脇村瞬太・文/山本初美)

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雨宮みなみ Profile

保育士を経験後、株式会社キッズカラー代表取締役に。あそびのタネNo.1保育や子育てに役立つ“遊び”情報サイト【ほいくる】の運営を行う。

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